2020年06月03日

『日本名城伝』

 海音寺潮五郎の『日本名城伝』を読む。『悪人列伝 古代編』の解説を書いていたら、読みたくなり、読んでしまった。

 『熊本城』:既に記したことだが、佐々成政、加藤清正、細川忠利、その後様々な歴史を経て明治維新。西南の役で西郷が敗れたのは、谷干城の熊本城を甘く見たことである。
 小説では、谷干城少将を熊本鎮台司令官に採用したのは「明治政府の最優秀人事といわれている」、と述べられている。名将の立て籠もる名城は、安易に落ちるものではない。

 『高知城』『富山城』:山之内一豊はどう評価しても小者である。『武将列伝』にも『悪人列伝』にも入らない。だまして大虐殺するという統治の仕方は、禍根を残すだけである。
 柴田も佐々も、こうした汚い手を使ったがゆえに、羽柴秀吉に天下を取られてしまうのである。しかし、山之内一豊は柴田よりも佐々よりもひどい。次元が低い。大河ドラマの主人公になるべき存在ではない。
 女が主人公で登場したがゆえに大河ドラマに取り入れられたに過ぎない。女の機嫌取りのドラマはだから面白くない。まんべんなく視聴率を稼ごうとするNHKの魂胆はもう破綻している。
これからは、年齢を中高年に絞り、女だけをターゲットにしての大河ドラマと男だけに絞っての大河ドラマとを隔年おきに放送すればいい。若者はどうせ見やしない。

 『五稜郭』:日本を襲撃した元の大艦隊は台風によって全滅した。そして榎本武揚の敗北も台風のためである。二度の強風に遭遇することが無かったら、北海道は独立国家となり、イギリス・フランスは蝦夷国(?)として国際的に承認し、その後、しばらくの間は、日本と戦争していたかもしれない。蝦夷国独立戦争である。

 海音寺潮五郎の史伝の魅力は、こちらの想像をかき立てることにある。既に、作家が想像たくましくウソでたらめを書いていては、こちらの想像は成り立たない。史実に近いところで、展開しているからこそ、新たな創造が生まれるのである。
 読者に面白がられるだけでなく、読者に知的刺激を与えるのが海音寺潮五郎の史伝である。(2485)
posted by 矢島正見 at 22:34| 我流雑筆

2020年05月30日

『悪人列伝 古代篇』C/4(完)

 ようやく内容に入る。
 最初に登場するのが「蘇我入鹿」。まずは蘇我一族の系譜が出てくる。そして、大和朝廷を中心とした奈良盆地での、豪族間の対立・闘争が描かれ、最後に残った蘇我と物部との宗教対立・勢力対立である。
 世はまさに戦国時代であり、天皇も公家も当時は武士である。国家よりも人民よりも一族が大事。いや、一族の者といえども、自分に逆らう者は殺す。

 蘇我一族は、稲目―馬子―蝦夷と登場し、ようやく入鹿となる。その間の天皇一族での対立・抗争・殺戮はすさまじい。皇室の人たち同士の殺し合いである。性関係もすさまじいが、殺し合いはそれ以上にすごい。親子で性交するほうよりも親子で殺し合う方がよほどすさまじい。天皇を殺しても、皇太子・皇子を殺しても、他の皇族の者を天皇に・皇太子に立てれば良いだけのことである。

 聖徳太子が摂政のときはいくらか平穏な時代であったが、それは蘇我一族が他を圧倒して支配していたからである。しかし、聖徳太子の息子、山背大兄王(やましろのおおえのおう)を殺したのが災いと化した。中大兄皇子(なかのおおえのおうじ)を中心としたクーデターである。
 NHKの大河ドラマにしたら、いったいどれほどの視聴率があるのか。ただし、絶対に放映されることはない。現在のタブーの一つである。

 次に登場するのが「弓削道鏡」であるが、主人公はむしろ考謙天皇(女帝)である。この女のすさまじさ。最初の愛人・藤原仲麻呂との関係、そして道鏡との関係。愛欲たっぷりの女帝である。
 山芋の男根を入れて、オナってたらその山芋が途中で折れて出なくなり、腐り出し、小手尼(当時の産婦人科医師)が手を入れて取ろうとした瞬間に藤原百川に手を切り落とされてしまうこと、そして結果として考謙天皇を殺してしまうこと、藤原氏のすさまじい権力巻き返し闘争である。
 考謙天皇は悪女というよりは、性欲旺盛な愛欲に飢えた可愛い権力者といったほうが妥当である。道鏡とて精力絶倫のただの男である。その二人が権力闘争の中に生きてしまったことが悲劇である。

 「藤原薬子」もすごい。男を言いなりにさせる熟女の魅力である。よほど色っぽかったのであろう。
 三男二女の母であり、長女は既に御所の高級女官(つまりは天皇や皇太子の愛人)になっている。その娘を退けて、二十代そこそこの皇太子(のちの平城天皇)を虜にさせ、邪魔な夫は大宰府に追放して、と同時に中納言にまで手を出してたぶらかし、天皇を通じて、やりたい放題の政治を行うという、まさに日本の楊貴妃である。

 これらに比べると「伴大納言」は小者の悪人である。「平将門」や「藤原純友」は、豪傑であり、革命児である。『悪人列伝』ではなく『武将列伝』のほうに入れて当然の人物である。
 平将門と藤原純友は同時代の人物である。京の都で一度くらいはあっていることと思える。しかし、同盟することは決してなかった。海音寺潮五郎は、この二人がもし同盟を組んでいたならば、反乱は成功したはずである、と述べている。これを読むと、私もそんな気になる。

 なお、海音寺潮五郎は、この後に『天皇列伝』を書く予定でいたという。これが書かれていたら、実にすごかったろうに…と、残念である。(2484)
posted by 矢島正見 at 15:13| 我流雑筆

2020年05月24日

第3回AbemaTVトーナメント予選

 昨日の土曜日、すごいテレビを見てしまった。
 「ABEMAで第3回AbemaTVトーナメント予選Cリーグ第1試合」である。プロ将棋の団体戦とは、私としては、初めてである。

 予選Cリーグは、
チーム康光(佐藤康光九段、谷川浩司九段、森内俊之九段)
チーム糸谷(糸谷哲郎八段、高見泰地七段、都成竜馬六段)
チーム木村(木村一基王位、行方尚史九段、野月浩貴八段)
の3チーム。

 昨日は、「チーム康光」対「チーム糸谷」。すごい早指しの将棋戦。持ち時間5分・指し時間5秒。手に汗握る盤上の戦いである。もちろん私は「チーム康光」を応援。

 第一戦・3回勝負は、谷川浩司九段対都成竜馬六段。子弟戦である。1勝2敗で谷川が敗れる。
 第二戦・3回勝負は、森内俊之九段対高見泰地七段。2勝1敗で森内が勝つ。これで引き分け。
 第三戦・3回勝負は、佐藤康光九段対糸谷哲郎七段。2勝1敗で佐藤が勝つ。これで、「チーム康光」の勝利。ポイント1を得る。なお、佐藤も糸谷も、居飛車・矢倉戦法。

 熱戦5時間以上。すべて見てしまった。寝たのは明るくなってから。そして、日曜日のNHKの将棋を見たのだが、半分、うとうとしていた。

 来週も土曜日にある。今度はどこの戦いか。「チーム康光」対「チーム木村」だと、どちらも応援したい。
 まだネットにて公開しているので、将棋好きで暇な方は見ていただきたい。(2483)
posted by 矢島正見 at 23:00| 我流雑筆

2020年05月23日

『悪人列伝 古代編』B/4

 元に戻る。『日本名城伝』の主人公は人ではなく城である。城と城主の栄枯盛衰史である。

 以前、テレビドラマに『剣』というのがあった。主人公は剣である。最初のナレーションは今でも覚えている。「この剣には銘がない。だがよく切れる」である。毎回完結のシリーズもので、物語はまったく別々なのだが、剣は同じ。人の手から人の手に剣が渡って、それぞれの物語が展開される。
 『日本名城伝』もまさにこの手法である。

 最初に登場するのは「熊本城」。佐々成政、加藤清正から細川幽斉・忠利。そして話は移り、幕末。谷干城の熊本城と西郷軍との戦いである。
 その間に、さまざまな逸話が挿入されて、時代が描かれており、実に博識のある、読み応えのある読み物となっている。

 この本に感銘を受けた。以来、海音寺潮五郎のファンとなった。ただし、未だに彼の代表作である『天と地と』と『西郷隆盛』は読んでいない。
 また、外れてしまった。元に戻ると言いながら、『悪人列伝 古代編』のことが全く述べられていない。(2482)
posted by 矢島正見 at 11:35| 我流雑筆

2020年05月19日

『悪人列伝 古代編』A/4

 思うに私の読書歴(読書個人史)は、いくつかに分かれる。その最初は漫画である。少年月刊誌(『少年』『少年画報』『冒険王』『おもしろブック』『ぼくら』)であり、貸本屋である。『剣』シリーズや『街』シリーズを借りて来ては兄貴と共に読んだ。小学校に上がる前から小学三年生の頃にかけてのことだ。

 次は、少年小説である。『怪人二十面相』『少年探偵団』『怪盗ルパン』『名探偵シャーロックホームズ』と探偵小説に始まり、興味はSF冒険小説に変わり、『地底探検』『海底二万マイル』『失われた世界』『海賊赤ひげ』『アラビアンナイト』さらに月刊誌『中一(二、三)時代』『中一(二、三)コース』等へと進んだ(ただし、読んだのは小説だけ)。これが小学四年から中学生にかけてのことだ。特に中学二年生からは乱読に突入した。

 高校に入ると、日本文学・外国文学のいわゆる名作を読むようになった。兄貴が日本文学全集と世界文学全集を持っていたし、一時期、雑誌『文藝』を購読していたので、それを読み漁った。主に好きだった作家は、芥川龍之介と太宰治である。
 大学時代・大学院時代では、森鴎外、有島武郎、谷崎潤一郎、石原慎太郎、大江健三郎、セリーヌ、ヘンリーミラー、モーム等である。

 30代頃から純文学に飽きて来て、読み始めたのが日本のSF小説である。筒井康隆、小松左京のファンとなった。また、推理小説にはまり出し、日本では、江戸川乱歩、松本清張、佐野洋、等、外国では、ポー、エラリークイーン、クロフツ、等である。
 50代頃からは歴史小説・時代小説に移行する。山本周五郎、井上靖、司馬遼太郎、藤沢周平、白石一郎、そして海音寺潮五郎である。

 今は、新しく書かれた小説はほとんど読む気になれない。多少読んでみても、つまらない。漫画がつまらなくなったのと同じだ。映画もつまらなくなった。科学や歴史の本のほうがよほど面白い。なお、哲学や社会学の本もつまらない。(2481)
posted by 矢島正見 at 18:24| 我流雑筆

2020年05月17日

『悪人列伝 古代編』@/4

(注:このシリーズの本は昨年の秋に読んだものである。随分と遅れて、ここに掲載する。他に掲載することが、次々に出て来てしまったが故である。)

 海音寺潮五郎『悪人列伝 古代編』を読む。6本の短編が収められている。これで読むのは二度目である。
 海音寺潮五郎には、この『悪人列伝』(全四巻)と『武将列伝』(全五巻)がある。海音寺は最初に『武将列伝』を書き、次に『悪人列伝』を書いたのだが、私が読んだのはその逆で、『悪人列伝』を読み、次いで『武将列伝』を読んだ。
 いや、その前に読んだのが『日本名城伝』である。海音寺潮五郎の小説を読んだのはこれが最初であった。そのとき、今まで読んだ歴史小説とは全く違った新鮮さを覚えた。

 これらの小説を海音寺潮五郎は「史伝」と述べている。この史伝に近い歴史小説を書いている日本の作家としては、私の知る範囲(ごく狭い範囲)では、森鴎外、司馬遼太郎、新田次郎、吉村昭がいる。また、歴史小説とはやや質を異にするが(「私小説」のジャンルに入るのだろうが)、今三人、『戦艦大和の最後』の吉田満、『野火』『俘虜記』の大岡昇平、『朱夏』の宮尾登美子を挙げてよいだろう。

 この『悪人列伝』は実に読み辛い。読み易さにすると、第一に『日本名城伝』、第二に『武将列伝』、最後に『悪人列伝』である。なかでも、『悪人列伝 古代編』は特に難解である。
 登場人物が似たような名前なので、混乱して来るし、ふりがながなければ全く読めない名であり、人物の関係が入り組んでいる。それを整理しながら、またいくつかの挿入記述や歴史の解説を読みながら、読み進めていくのである。まさに「史伝」であり、専門学術書以上の読解力と忍耐力を要求されるのである。(2480)
posted by 矢島正見 at 14:06| 我流雑筆

2020年05月15日

路上生活者殺害事件

 いささか古いニュースを。

『読売新聞オンライン』(4/23(木) 13:46配信 )
 「路上生活者の男性を殺害した疑い、少年5人逮捕…石投げつける」
 「岐阜市で路上生活者の男性を殺害したなどとして、岐阜県警が、県内の少年5人を殺人容疑などで逮捕したことが、23日わかった。」
 「捜査関係者によると、少年らは3月25日未明、同市内の橋の下で生活していた無職渡辺哲哉さん(81)に石を投げつけるなどして殺害した疑い。渡辺さんの死因は脳挫傷と急性硬膜下血腫で、遺体の状況などから、県警が殺人事件として捜査していた。」
 「渡辺さんは事件前、警察に「石を投げられる」と相談していたという。」

中京テレビ NEWS(2020/04/23 17:00)
 「岐阜県警は23日、19歳の少年5人を逮捕しました。」
 「この事件は3月25日、岐阜市の伊自良川で路上生活をしていた渡辺哲哉さん(当時81)が頭部に暴行を加えられ、殺害されたものです。」
 「逮捕された5人は友人関係で、会社員と無職の2人に殺人の疑い、大学生2人に傷害致死の疑いがもたたれています。」

中京テレビNEWS (4/25(土) 11:53配信)
 「岐阜市で路上生活者の男性が殺害された事件で、逮捕された少年5人は野球仲間で、計画的に襲撃した可能性が高いことがわかりました。」
 「この事件は、先月25日、岐阜市で路上生活をしていた渡邉哲哉さん(当時81)が殺害されたものです。」
 「25日送検された少年5人は、3人が殺人の疑い、大学生2人が傷害致死の疑いです。
 5人のうち大学生2人は現役の硬式野球部員、2人は元野球部員、1人は野球仲間ということです。」
 「捜査関係者によりますと、石を投げつける行為を事件前にも数回繰り返すなど、計画的に襲撃した可能性が高いということです。」

テレ朝ニュース(4/25(土) 12:15配信)
 「殺人や傷害致死の疑いで逮捕・送検された少年5人は先月25日未明、岐阜市寺田の路上でホームレスの渡辺哲哉さん(当時81)に石を投げ付けるなどの暴行を加えて死亡させた疑いが持たれています。捜査関係者によりますと、殺人の疑いで逮捕された3人のうち一部は殺意はなかったと話していることが分かりました。渡辺さんは先月、4回にわたって投石被害を受けて警察に相談していて、警察は逮捕した少年を含めて10人ほどが関与していたとみています。朝日大学は逮捕された少年のうち2人が現役の硬式野球部員だと発表し、他の2人も元部員だったと認めています。」

 久しぶりというのは、いやな言い方だが、こうした事件が起こった。
 「ホームレスなど最低の人間」という認識で、「嫌がらせしてやろう」という意識で、重大な犯罪を引き起こしてしまったのであろう。
 驚いたのは、大学生だったということだ。40年も歳月が過ぎると、中学生から大学生へと移行するのであろうか。

 「朝日大学」をネットで検索してみると、偏差値は、サイトにより異なりはあるが、「35 - 45」とみてよいであろう。低位の大学ではあるが、それでも大学生である。
 ところがよく見ていくと、5人中朝日大学生は2人だけで、他の3人中2人は、事件前に既に朝日大学を退学して、今は無職のようだ。そして、殺人容疑は他の3人にあるようだ。
 そうなると、私の論理的図式にあてはまってしまう。将来展望が欠如してしまった底辺層・周辺層でさまよっている若者による、自分たちよりもさらに下の層に生きている(少なくともそう思っている)人への軽蔑による迫害である。「俺たちより下の人間」「いなくてもよい人間」に対しての石投げという行為による優越感の回復である、と考えられる。(2479)
posted by 矢島正見 at 11:12| 我流雑筆

2020年05月11日

都データ公表

 東京都がようやく「都内の最新感染動向」というのを出しました。今頃という感じですが。これで、検査実施人数も件数もそれなりに分かりました。日によって、随分検査人数・件数が異なるのですね。正直、人数も件数も少ないです。
「陽性患者数(5/9)36人÷検査実施人数(5/8)819件×100=4.4%」と、とりあえずの数値です。日にちが異なるし、「人」と「件」も異なります。ただ、「検査実施人数134人」は、医療機関が含まれないということで、仕方なく「件」としました。
 ところで、国のこうしたデータは公表されているのでしょうか。また、都以外の道府県はどうなのでしょうか。ネットの使い方がよくわからないので、情報弱者となっています。(2478)
posted by 矢島正見 at 01:19| 我流雑筆

2020年05月08日

『新時代の犯罪学』

 石塚伸一編著『新時代の犯罪学――共生の時代における合理的刑事政策を求めて』を読む。
 日本犯罪社会学会メンバーと龍谷大学犯罪学研究センターのメンバーとの合同による研究成果である。内容もしっかりしているし、読んでいて面白く、ずっしりと重たい。
 「【第1編】犯罪学・刑事政策の危機」は、実に納得する。犯罪社会学も危機である。「【第3編】犯罪学の新動向」も面白い。「犯罪生物学の再興」は勉強になったし、「犯罪人像のパラダイム変換」も面白い。ただし、「パラダイム変換」は、時代が変容しない限り出現するものではない。その点が「犯罪学・刑事政策」の弱いところである。
 なお、どうしても私と異なるところは、法学の範疇で「刑事政策」の改革を求めているところだ。私は「社会政策」の一分野としての「刑事政策」を想定している。「経済政策」「教育政策」「福祉政策」「医療政策」「地域政策」と同じ次元での「刑事政策」である。 そういう視点に立つと、「犯罪人像のパラダイム変換」が「刑事政策」だけの次元のパラダイム変換なのか、それとも、「教育政策」における「問題児童生徒のパラダイム変換」とも、「福祉政策」における「社会的弱者のパラダイム変換」とも、「医療政策」における「病人のパラダイム変換」とも、そして「地域政策」における「問題地域のパラダイム変換」とも、歴史的・論理的関連性があるのか、という社会学的発想にまで至るのであるが…。(2477)
posted by 矢島正見 at 23:28| 我流雑筆

2020年05月03日

神戸市民4万人に感染歴か

 神戸新聞でも、記事が掲載されていた。この情報は既に全国に行き渡っている。もはやこの情報を無視することはできないであろう。
 政府はおそらく慌てだしていることであろうし、権威ある専門委員会と称する学者先生たちも慌てふためいていると思う。もちろん、マスコミも、である。
 これを基にした試算では、既に現時点では、日本人は10%以上、1000万人以上感染している可能性が高いのである。
 さて、政府と専門委員会とマスコミはどう動くのであろうか。私のようなひねくれ者はこちらのほうに関心が傾く。
 全国的なそして本格的な調査が必要である。政府と都道府県は、協力して、今までの専門家集団とは別のプロジェクトチームを作らなくてはならない。そして、正しいデータを国民に提示しなくてはならない。
 なお、この全国的な調査の結果が出てくるのは6月に入ってからではないだろうか。その際、既に国民の半数ほどが感染していたのならば(5月中旬の調査として)、万々歳である。致死率もぐっと減少するであろう。
(私自身、4月の初旬までは、素手で、ドアを開けていたし、JRではエスカレーターや階段の手すりにつかまっていたり、公衆トイレに入っていたりと、平気でやっていた。もしかすると既に感染者かもしれない。)
 以下、記事を転載する。

「神戸市民4万人に感染歴か 試算の病院長「公表患者260人と隔たり。本当に大きな驚き」」(「神戸新聞NEX」5/3(日) 21:17配信  最終更新:5/3(日) 23:03)

 「新型コロナウイルス感染症について、神戸市立医療センター中央市民病院(同市中央区)の研究チームが2日、外来患者千人の血液検査で、3・3%が抗体を持っていたと明らかにした。4月上旬までに、市民約4万1千人に感染歴があった計算になる。この結果を受け、同院の木原康樹院長が3日、神戸新聞社のインタビューに応じた。主なやり取りは次の通り。」(霍見真一郎、井川朋宏)

 「−なぜ新型コロナの抗体検査を実施したか。」
 「どのぐらいの人が新型コロナと接触し、免疫を獲得しているかは、現時点で日本ではほとんどデータがない。それは、緊急事態宣言をどの地域で、どう解除するかと密接に関係しており、基礎的なデータになると考えた。結果の精度や、免疫を獲得したことと同じかどうかは議論が必要」

 「−企画した経緯は。」
 「緊急事態宣言の前で、(中央市民病院で)院内感染が発生する前に企画していた。国内の感染に関して比較的初期のデータを狙った。国内の伝播(でんぱ)の痕跡を把握するために、抗体をチェックする手段があるので、調べようということになった。既にある患者の血清を使うことができたら、完璧とは言えないが、地域住民の病気の分布を推測することに役立つ」

 「−外来患者の検体は、一般市民と比較してバイアス(偏り)がないか。結果をどう受け止めるか。」
 「一般の元気な人と、何らかの病気がある通院者が同等ではないと考えなければいけない。市民から任意で抽出したサンプルとは、いろんな意味で偏りがあると認識した上で、(データで示された)4万人と(2日時点で神戸市が公表した患者)260人には非常に大きな隔たりがある。本当に、大きな驚きだ」

 「外国の値ともそう矛盾しないデータかもしれない、と考える。患者数は米国、中国などに比べて随分少なく抑えられているが、その値(今回の結果)が真実であれば、ウイルスとの接触はそれほど大きな差がないことになる。重症の患者がかなり低く抑えられているというのは、私たちの国はうまくいっていると言えるのかもしれない」

 「神戸市で4万人が感染していれば死亡率は随分低くなる。評価は変わってくる。国策としてこれからどの時期にどう解除するか、根拠は何かということに関して、一石を投じるデータではないかと思う」

 「−市中感染が広まっている認識は。」
 「さまざまな場面で、実はわれわれの体はウイルスに接触していると考えるべきだ。PCR検査で陽性だった人以外が、全く病原体に接触したことがないという考え方は違う」

 「どちらかというと、これは非常にラッキーなデータ。感染拡大初期に行ったデータで既に3%に達していた。そこから1カ月がたってどう変化したのか大変興味がある。もしかしたらもう少し高いデータが出ている可能性があることは、大いに考えられる」

 「今置かれた環境の客観的データが増えるほど、私たちはより科学的な武装ができる。ニューヨークや東京のデータとは違い、足元のデータは極めて大事というのが医療者としての認識」

 「−PCR検査に比べ、抗体検査をどう見るか。」
 「比較の問題ではなく、見ているものが違う。PCR検査はウイルスがいるかいないか。ほかに方法がないから便宜的に使っている。限界があるし、それを持って判断していると、実は間違ったことをやっている可能性は大いにあると医療現場で思う」

 「抗体検査は体がどう反応しているか。抗体を持つかどうかで、患者であるかどうか今、判断するレベルではない。ある集団に関して、このうちの何割が抗体を持っていたという言い方はできる」

 「−今後に向けて。」
 「マスクを外したり、『3密』を解いたりすることが可能かどうかは、医療者として、しばらく継続が必要だろうと思う。それは、3・3%という抗体検査のデータが正しいとして、集団免疫ができる70%にはほど遠いから。どこで制限を解除するかは政治家の判断」

 「(PCR検査の)陽性者だけがかかっていると見る世界とは、違う裾野の世界が、現在進行形で広がっているという認識は大事。ワクチンなどの抗体を提供できる時期が来れば大変よろしいし、きっと来る。それまでは動向を見極めることが必要だ。具体的なちゃんとした情報発信をしていくことが、私たちの仕事だ」(2476)
posted by 矢島正見 at 23:48| 我流雑筆

私の無知

 どうも私の無知だったようだ。情報の欠如である。下記の情報を得た。

「感染全容知りたい、でも精度に難点、そもそも免疫できない? 各国で進む抗体検査、遅れる日本」(毎日新聞2020年5月1日 20時30分(最終更新 5月1日 20時40分))

 「新型コロナウイルスの感染状況を分析するため、感染した痕跡を調べる抗体検査が各国で相次ぐ。米ニューヨーク(NY)州では住民の15%が感染したことをうかがわせるデータも。日本も東京と東北地方で調査が進むが、検査キットの精度などを巡り課題も指摘されている。」
 「大規模な抗体検査と診断で、市民は安全に仕事に戻れる」。「感染者が30万人にも上るNY州のアンドリュー・クオモ知事は4月19日の記者会見で、抗体検査の意義をこう強調した。」
 「同州は毎日2000人ずつ検査する予定で、トランプ米大統領も支援を表明。23日に発表された3000人分の結果では13.9%が抗体を保有していた。州全体で約270万人が既に感染している計算で、確認された感染者数の約10倍に上る。さらに、27日には保有率が14.9%に上昇。クオモ知事は「割合がどうなっていくのかを知りたい。決定を下すためのデータになる」と期待する。」(2475)
posted by 矢島正見 at 08:24| 我流雑筆

まさかの事態・まさかのデータ――3%に抗体

「外来患者の3%に抗体 神戸市立病院調査、千人対象」
(「共同通信 5/2(土) 23:18配信  最終更新:5/3(日) 7:17)

 「神戸市立医療センター中央市民病院(同市中央区)の研究チームは、4月7日までの8日間に外来を受診した患者千人の血液を検査したところ、約3%が新型コロナウイルスに感染したことを示す抗体を持っていたと2日発表した。」
 「感染後しばらくしてできる IgG抗体が33人から検出された。救急や発熱外来を受診した患者は対象から外した。神戸市全体の性別や年齢の分布に合わせて計算すると、4月7日の緊急事態宣言が出る前に、既に2.7%に当たる約4万1千人に感染歴があったことになるという。当時、神戸市でPCR検査によって把握されていた感染者数の数百倍が感染していた可能性がある。」

 これは実に面白い調査データである。きちんとした科学的方法を用いているようだ。
 神戸市では4月7日の時点で、2.7%の感染率である。それから既に1カ月経過している。神戸では、その間に感染率は5倍以上になっていることと思う。
 これを全国に当てはめて見れば、5倍として、《1億2千万人×0.027×5=1620万人》となると、1億2千万人の日本人のうち既に1620万人は新型コロナウィルスに感染しているということである。
 暗数は1000倍であったということである。もはや、緊急事態宣言があほらしくなる数値である。今まで何を騒いでいたのだ、という数値である。このまま行けば、あと一カ月ほどで、国民の半数以上の人が抗体を持つことであろう。
 同様の調査を国内だけでも、緊急に数十地点で行うことである。そして、その結果を全世界に発信すべきである。(2474)
posted by 矢島正見 at 08:10| 我流雑筆

『いじめと規範意識の社会学』

 作田誠一郎『いじめと規範意識の社会学―調査からみた規範意識の特徴と変化―』を読む。
 筆者の10年ほどかけての調査研究の集大成である。まさに、労作である。
 しかも、筆者が得意とする今までの歴史社会学的方法とはまったく異なった、統計調査による分析である。
 デュルケムは実証主義社会学の元祖であるが、実証研究として、デュルケムは統計データ分析と歴史的手法による分析を重視している。
 まさか、そのデュルケムにあやかったとは思えぬが、今まで慣れていた方法とは異なった方法を採用するのは大変なことであり、危険なことであるが、それによく挑戦したと、感心する。(2473)
posted by 矢島正見 at 07:22| 我流雑筆

2020年04月30日

『加害者家族バッシング』

 佐藤直樹『加害者家族バッシング―――世間学から考える』を読む。
 相変わらずの面白い本である。これほどに読者を引き込む内容と語り口はないであろう。彼にしてできる芸である。私には到底できない。
 だからこそ、これほどまでに大量の著書を出せるのであろう。彼には出版社から出版の依頼が多数来ていることと思う。大したものである。

 ただ、ひと言申し添えておくならば、近年になってようやく加害者家族に視点が当てられるようになったというのは、被害者家族に視点が集中してからあとの出来事である。
 今から40年以上前ならば、マスコミは(なおこの頃は、ネット社会などなかった)犯罪の加害者家族も被害者家族も、どちらに対してもそれほど焦点化してはいなかった。
 加害者家族がマスコミに主体的に登場することはなかったが、被害者家族も同じであった。犯罪者の成育ストーリーも加害者の悲しみに明け暮れる家族ストーリーも、テレビニュースがワイドショー化して以降のことである。
 被害者家族にあっては、「犯罪を許さない」という異議申し立ての主体としてではなく、ただただ悲しみに泣き崩れる情景として、ほんの数秒描かれていただけである。(2472)
posted by 矢島正見 at 23:37| 我流雑筆

2020年04月28日

『Newton』

『Newton』という雑誌が送られてきた。よく聞く名の雑誌ではあるが読んだことはなかった。自然科学の専門大衆紙である。
 今回初めて読んだ。なかなかおもしろかった。ぜいたくなカラー紙面で、イラストによる説明がよくできていて、わかりやすく、内容もしっかりしている。
 いい雑誌をいただいたと、感謝している。(2471)
posted by 矢島正見 at 23:17| 我流雑筆