2020年06月06日

『悪人列伝 中世篇』

 海音寺潮五郎『悪人列伝 中世篇』を読む。6本の短編が収められている。『古代篇』に比べると、皆スケールが小さくなる。さほどの悪人はいなくなる。なかには哀れな人も出てくる。
 思うに我が国の乱世は、日本国成立時代、南北朝時代、戦国時代と、三つしかない。その中でも最大の乱世は古代である。

『悪人列伝 中世篇』〈@平安時代〉
 「藤原兼家」は、朝廷での権力闘争である。いや、藤原一族内の闘争といってもよい。しかもその闘争は、兵を集めての合戦ではなく、権謀術策を用いてのだまし合いのキツネとタヌキの合戦である。時代が「獅子の時代」から「キツネの時代」になったことがよくわかる。制度と組織の中で勢力を握るのがキツネたちである。

 こうしたいやらしい権力闘争劇は、朝鮮半島の李王朝時代も同じである。朝鮮は基本的には日本のような武士の時代を経ることなく近代化に飲まれ込んでしまった。平安時代の日本とよく似ていると考えると実に理解できる。
 もっとも、最近の日本も平安時代になってきている。国民は公家化している。そして政治は権謀術策である。(2486)
posted by 矢島正見 at 00:14| 我流雑筆