2020年04月30日

『加害者家族バッシング』

 佐藤直樹『加害者家族バッシング―――世間学から考える』を読む。
 相変わらずの面白い本である。これほどに読者を引き込む内容と語り口はないであろう。彼にしてできる芸である。私には到底できない。
 だからこそ、これほどまでに大量の著書を出せるのであろう。彼には出版社から出版の依頼が多数来ていることと思う。大したものである。

 ただ、ひと言申し添えておくならば、近年になってようやく加害者家族に視点が当てられるようになったというのは、被害者家族に視点が集中してからあとの出来事である。
 今から40年以上前ならば、マスコミは(なおこの頃は、ネット社会などなかった)犯罪の加害者家族も被害者家族も、どちらに対してもそれほど焦点化してはいなかった。
 加害者家族がマスコミに主体的に登場することはなかったが、被害者家族も同じであった。犯罪者の成育ストーリーも加害者の悲しみに明け暮れる家族ストーリーも、テレビニュースがワイドショー化して以降のことである。
 被害者家族にあっては、「犯罪を許さない」という異議申し立ての主体としてではなく、ただただ悲しみに泣き崩れる情景として、ほんの数秒描かれていただけである。(2472)
posted by 矢島正見 at 23:37| 我流雑筆