2020年02月25日

『ビッグ・クエスチョン』C/4

 第五は人工知能(AI)である。このことに関しては、ホーキング氏の関心と私の関心は一致している。
 2100年頃には、人類はAIに殺され、AIに支配され、AIに依存し、AIに保護される存在と化しているのではないかと思うからである。
 アメリカの繁栄も、中国のおごり高ぶりも、ロシアの狡猾さも、あと50年程度である。何処の国が覇権を得たとしても、「奢れるもの久しからず」であり、十万年のホモサピエンス史は幕を閉じ、AIが支配する楽園の地球が出現する、という筋書きである。ゲノム編集に基づいての遺伝子組み換えによる超人間化も、太刀打ちできない。

 地球上の人間以外の生物にとっては、人類が支配するよりもAIが支配したほうがよほど有り難い。機械は他の生物を犠牲にしない、自然を食い物にしない。海洋生物も陸上生物も植物もAIにとっては略奪する対象ではない。AIが必要とするのは有機物ではなく無機物である。

 AIは人類の知能を超えないというのは既に「無知のたわごと」であることが立証されている。スポーツ(もしくは体力)で人類はAIにかなうわけない。新幹線の速さで走る人間はいない。時速300キロのピッチングマシンの球を打てる人間はいない。オリンピック用のAIロボットが出場すれば、ゲノム編集に基づいての遺伝子組み換えによる超人間ですら、金を取ることはできない。
 宇宙物理学や量子力学等のすべての知識をAIコンピュータが得たならば、ノーベル物理学賞を獲得するのはAIコンピュータである。

 「電源を切ればAIコンピュータなど、それでおしまいだ」と言うのならば、やってみることだ。たちどころにセンサーで焼き殺されるであろう。一つのAIコンピュータの電源を切ったところで、全世界に広がった数億のAIコンピュータを壊滅することはできない。AIコンピュータとAIロボットは、核ミサイルのコントロールを破壊し、宇宙衛星をコントロールし、金融システムを破壊し、人びとの日常生活を破壊し、石油も食料も人類の手に渡ることを遮断し、人類を滅亡させることでが可能となる。

 しかし、そうはしないであろう。人びとの日常生活を支配し、人類を支配することであろう。人口を調整し、現在の1000分の1程度にして、管理と統制のもとで、凡庸で無力な人類には福祉を提供して、生かしておくことであろう。あとは、AIコンピュータとAIロボットの自己再生産活動が行われるだけのことである。AIコンピュータとAIロボットを管理するのも生産するのものAIコンピュータとAIロボット自身である。

 AIコンピュータやAIロボットは、宇宙が創り出した水素・ヘリウム以来の物質でできているのだから、また宇宙という時空間に存在しているのだから、宇宙の存在である。生殖はしなくても再生産できるのであるから、生物と同じである。
 こうして、宇宙の中のある一つの惑星ではAIコンピュータとAIロボットが支配者となり、生物は絶滅することなく、繁栄していくのである。46億年の地球史にあって、わずかに10万年だけが異常史だったわけである。

 余談ではあるが、宮崎駿はこうしたテーマでアニメを制作すればよかったのだが、所詮彼はヒューマニストであった。冷たく乾いて徹底して淡々と人類の末路を描くことのできる芸術家ではなかった。
 マンハイムの存在拘束性であろう。いつの日か、ヒューマニズムに飽き飽きした人間が映画監督になった際には、徹底した人類の悲惨な最期を描くことであろう。21世紀のルイ・フェルディナン・セリーヌである。あと十数年のことと思う。(2441)
posted by 矢島正見 at 22:57| 我流雑筆