2020年01月16日

『奥羽の二人』

 松本清張『奥羽の二人』を読む。10本の短編が収録されている。
 『五十四万石の嘘』とほぼ同時期に書かれているが、こちらの方がやや出来が良い。10本とも秀作である。清張の歴史小説を読むのであれば、その入門としてはこちらのほうをお勧めする。
 なお、奥羽の二人とは、伊達政宗と蒲生氏郷である。会津を取った正宗だが、秀吉に没収される。その会津に赴任してきたのが氏郷(42万石、のちに91万石)。若手の武将ナンバーワンと秀吉から折り紙付きの武将である。会津を取り戻そうとする政宗の策略、それに立ち向かう氏郷、この構図だけでも面白い。

 小説にはないが付け加えると、氏郷は若くして死んだ。世継がいなかったのでお家は宇都宮(12石)に移された。氏郷の死では家康に毒殺されたという説があるが、これはうそであろう。
 それほど家康は恐れていたということだ。会津に氏郷がいる限り、家康はうかつに動くことはできない。豊臣秀吉は伊達政宗への牽制と、事あれば家康を背後から突かせるということで氏郷に会津を任せたわけである。
 氏郷は近江派である。もし生きていたら、上杉とともに石田三成に組したのではないか。そうなると、伊達は総崩れと化し、家康は宇都宮から軍を引き上げたとしても、江戸を離れることは難しかったであろう。(2430)
posted by 矢島正見 at 14:06| 我流雑筆