2020年01月15日

『五十四万石の嘘』

 松本清張『五十四万石の嘘』を読む。8本の短編が収録されている。
 昭和26年から31年にかけて書かれたもので、松本清張の初期のさらに初めである。「西郷札」や「或る「小倉日記」伝」の頃の作品である。
 「五十四万石の嘘」は熊本加藤家二代目の物語である。いかにして加藤家がお取りつぶしになったのか、奇想天外な物語となっている。
 文中に「卯月」と出てくる。清張が旧暦を用いていたことがわかる。時代小説では、「卯月(四月)」と書いてくれると、また「寛永元年(1624)」と書いてくれると、さらに「二百五十石の知行取り」と書いてくれると、よくわかるのだが。
 おもしろいことを見つけた。最後に「うしろがき―「解説」に代えて」とある。「あとがき」というのがごく普通であろう。「跋」や「うしろがき」は珍しい。
 さらにおもしろかったのは、伝票が挟まれていたことだ。「啓文堂書店」「92/04/30」となっている。1992年に購入したらしい。おそらく1992年の春に読んだのだろう。(2429)
posted by 矢島正見 at 13:24| 我流雑筆