2019年10月27日

『東海道をゆく』

 白石一郎『東海道をゆく―十時半睡事件張』(第七弾)を読む。シリーズ最後である。
 江戸が嫌になり出したころ、福岡の息子が病に倒れた。そこで、福岡に帰る、という設定である。今回は、東海道の道中記である。弥次郎兵衛と喜多八の『東海道中膝栗毛』より10年ほど時代はさかのぼるが、ほぼ、同時代と考えてよいだろう。
 今までは連作小説であったが、今回は長編小説といってよいだろう。8つに体裁としては分けてあるが、8章構成の小説である。

 結局、事件を解決するという今までのような型ではなく、道中記のような物語が続く。そして、東海道三十一番目の宿・新居に着いて、そこで終わる。中途半端な道中記である。
 白石一郎が、本書を執筆したのは平成13年、そして平成14年に食道癌がわかり、平成16年に亡くなる。福岡まで至らなく、絶筆したということである。
 京都や大阪の黒田藩邸での事件・もめごとの解決を期待したのだが、そういう展開ではなかった。京都では藩費の私的流用、大阪では米問屋・札差の贈収賄、等々、おもしろいネタがごろごろしていそうなものなのだが、残念である。
 重ねて述べるが、柏木のぶなどどうでもよい。最後の最後で出来が悪かった。

 以上、第三弾から第七弾まで、7月から8月にかけてのおよそ2カ月間で読んだ。これにて『十時半睡事件張』は終了である。もし再度読むとしたら20年後である。そのころは十二時永眠である。(2402)
posted by 矢島正見 at 22:34| 我流雑筆