2018年08月20日

『若山牧水』D

 二十歳そこそこの牧水が心酔していた作家は、国木田独歩と田山花袋だったという。
 独歩はロマンチックな自然主義なので、牧水が心酔したのもよくわかる。花袋は写実性の強い自然主義ではないだろうか。『布団』なら牧水に近いかもしれないが、『田舎教師』では遠いように思える。
 ただし、牧水を考えるとき、彼は藤村・白秋系列であり、正岡子規系列でないことは確かだ。長塚節の『土』に比べれば、牧水はよほど花袋の『田舎教師』のほうに近い。
 なお、大岡信は、牧水の短歌だけでなく、紀行文のすばらしさを評価している。引用文だけからしかわからないが、確かに、すっきりとした、気取りのない、また理屈っぽくない文章である。(2257)
posted by 矢島正見 at 13:46| 我流雑筆