2016年07月21日

金子常規『兵器と戦術の日本史』「第一章」J

 今少しお付き合い願いたい。
 第三の「狗奴国」連合国家のことである。この「狗奴国」は『魏志倭人伝』に卑弥呼との関係で出てくるだけで、あとは全くと言ってよいほど出てきていないようだ。
 出てきたとしても敵役か脇役である。『古事記』にも『日本書紀』にも出てないし(たぶん)、風土記もないようだ。
 ということは、野蛮で戦闘的ではあっても、国家覇権闘争という政治の表舞台では、さほどの脅威ではなかったと思われる。南大陸・南方諸島⇒南九州⇒南四国⇒紀伊半島南部と、その海域が支配圏だったのだろう。
 しかも、海洋民族であり、土地を奪いそこに定住する、という領土征服野望はあまりなかったのではないかと思われる。この時代、そういう民族は歴史の勇者にはなったとしても、歴史をつくることは少なかったのではないか。
 例外は地中海の海洋民族だけなのではないかと思える。ただし、フェニキア人を典型とする地中海海洋民族は商業民族と化してしまい、農耕定着民とはならず、地域占領は交易の拠点化のためであって、地中海交易の独占に走っていった。
 地中海の覇権を握ったローマ帝国は海洋国家とは言えない。海洋(帝国)国家が本格的に成立するのは、スペイン、ポルトガル、オランダ、イギリス等、近代になってからである。(1968)
posted by 矢島正見 at 23:01| 我流雑筆