2013年03月28日

歴史小説のわからないところ@

 たとえば藤沢修平の歴史小説。時代は江戸時代であるが、いったいいつのことなのかわからない。江戸時代と言えども、1603年から1968年まで、265年間続いている。明治維新(1868年)から現在までよりもよほど永い。初期・前期・中期・後期・末期では随分と異なる。にもかかわらず、江戸時代を描いた小説では「時代不明」のものが多い。
 なかには、「八代将軍吉宗の世」「俗に言う田沼時代」「文政年間」などとあれば、それなりに限定できるが(といっても、吉宗の時代は1716年から1745年まで30年間ある)、そうでない場合には、書かれている事柄から想定しなくてはならない。
 なお、「文政年間」という表現は「文政」が有名なのでわかるが、「承応元年」などと表記されても、いっこうにわからない。歴史年鑑を横に置きながら時代小説を読む人はごく少数であろう。
 もしこうした表現をするのであれば「承応元年(1652)」と読者サービスすべきであろう。(1430)
posted by 矢島正見 at 14:32| 我流雑筆