2020年05月08日

『新時代の犯罪学』

 石塚伸一編著『新時代の犯罪学――共生の時代における合理的刑事政策を求めて』を読む。
 日本犯罪社会学会メンバーと龍谷大学犯罪学研究センターのメンバーとの合同による研究成果である。内容もしっかりしているし、読んでいて面白く、ずっしりと重たい。
 「【第1編】犯罪学・刑事政策の危機」は、実に納得する。犯罪社会学も危機である。「【第3編】犯罪学の新動向」も面白い。「犯罪生物学の再興」は勉強になったし、「犯罪人像のパラダイム変換」も面白い。ただし、「パラダイム変換」は、時代が変容しない限り出現するものではない。その点が「犯罪学・刑事政策」の弱いところである。
 なお、どうしても私と異なるところは、法学の範疇で「刑事政策」の改革を求めているところだ。私は「社会政策」の一分野としての「刑事政策」を想定している。「経済政策」「教育政策」「福祉政策」「医療政策」「地域政策」と同じ次元での「刑事政策」である。 そういう視点に立つと、「犯罪人像のパラダイム変換」が「刑事政策」だけの次元のパラダイム変換なのか、それとも、「教育政策」における「問題児童生徒のパラダイム変換」とも、「福祉政策」における「社会的弱者のパラダイム変換」とも、「医療政策」における「病人のパラダイム変換」とも、そして「地域政策」における「問題地域のパラダイム変換」とも、歴史的・論理的関連性があるのか、という社会学的発想にまで至るのであるが…。(2477)
posted by 矢島正見 at 23:28| 我流雑筆