2019年12月28日

『コミュニティ犯罪学』

 とんでもない本が献本されて来てしまった。5日間かけてようやく読み終えた。実にしんどかった。
 『コミュニティ犯罪学』、タイトルは魅力的である。しかし、内容は地域次元での犯罪・非行原因論でもなく、地域次元での犯罪・非行統制論でもない。犯罪学におけるコミュニティを対象とした調査研究理論の書である。しかも、ハウツウものではない、理論展開の書である。
 こんな難解な本は、今までの私の研究生活の中で10本の指に入ることであろう。正直「大半はわからなかった」というべきか、「あるところは分かった」というべきか。
 日本の犯罪学者のどれほどの人がわかるのだろうか。私自身は当然のことで、最先端の犯罪学方法論(特に計量分析方法)にはついて行けないことはわかっているが、私より今少し若い60歳以上の研究者であってもどれほどわかるのか、心配である。
 さらに、この書の提言通りにどれほど実際の調査研究がなし得るのかと考えてみると、結局のところ、しばらくは、コミュニティにおける犯罪研究での空間次元と時間次元との分析単位を異にしたスケールでの、統合分析ということに帰着するのではないかと思える。
 私の言うところの社会構造次元と個人の行動・意識次元を媒介するところの生活次元での空間時間調査分析の必要性ということになるのではないだろうか。
 もちろん、理屈だけの仮説提示に終始するような私の研究とは異なった、コンピュータを用いての統計的科学分析データを提示しての科学的根拠に基づいた調査研究方法論である。
 とにかく、本書は今までの生態学研究・環境犯罪学・地域防犯といった、なじみやすい単純なレベルの書籍ではない。
 この書を理解し得て、自ら調査研究し得る若手・中堅の犯罪学者が多数現れることを期待したい。(2421)
posted by 矢島正見 at 19:12| 我流雑筆