2019年01月25日

『はじめて学ぶLGBT―基礎からトレンドまで』

 石田仁『はじめて学ぶLGBT―基礎からトレンドまで』(ナツメ社)を読んだ。以下は、その感想を著者の石田氏宛に書いたという想定での文章である。

石田仁様
お送りいただいた『はじめて学ぶLGBT―基礎からトレンドまで』(ナツメ社)を拝読させていただきました。
読後の率直な感想として、アンビバレントな複雑な心境であります。

名著と言ってよいと思います。実によくできております。
内容的にみても充実しており、体系化されており、申し分ありませし、また、しっかりとして膨大な文献提示からみても、これは専門書・学術書です。
専門書・学術書としての価値は十分にあります。

しかし、見開き2頁での解説、「です・ます」調の文体、漫画の挿入、イラスト入りの図解と、そして、よく言えば分かりやすいレイアウトの紙面構成、悪く言えば週刊誌的なレイアウトの紙面構成。
どう考えても、初心者向け・一般者向けの、いわゆる「売れる本」です。

こうしたことはよくあることなのですが、本書ではそのギャップが激しい、と言わざるを得ません。
専門書・学術書にすれば、これだけの豊富な内容であるならば、2〜3冊ほどは出来上がります。
まずそれを出しておいて、そのあとで、初心者向け・一般者向けに、もっと手抜きをして一冊にまとめて出せばよいと思うのですが…。
私から言わせれば、もったいない限りですが、そうもいかないところに、多様な複雑なご事情があったに違いないと推察します。

しかし、とにかく、研究者であっても読むべき本であることは確かです。
セクシュアリティに関心のある方の必読書です。
1600円では安すぎる本です。
 矢島正見(2314)
posted by 矢島正見 at 21:54| 我流雑筆