2018年11月25日

『青べか物語』

 『青べか物語』を読んだ。最初、随筆かと思ったが、小説であった。
 山本周五郎『青べか物語』は昭和36年に文芸春秋社から出ている。随筆風の小説であり、山本周五郎が20歳代半ばの頃に体験した・もしくは見聞したことに基づいてのごく短い短編小説である。
 舞台は大正15年から昭和4年までの浦安。小説では「浦粕」として出てくる。旧江戸川の東に位置する、今ではディズニーランドのある地である。百万坪の芦や雑草の生い茂った荒地・湿地と隣り合った小さな漁師町での物語である。
 赤松啓介の夜這い研究によると昭和20年代まで農漁村では未だ夜這いがあったということだが、ここで描かれている浦粕の人たちの性に対してのおおらかなこと(今では、とんでもないふしだらなこと)は驚きである。当時の農漁村の低階層の人たちにとっては、「不倫」などという概念がないような感じである。特に小学3年生の「おたま」の早熟さはすごい。数十年前のことぶきドヤ街の女の子以上である。(2291)
posted by 矢島正見 at 10:16| 我流雑筆