2018年09月27日

『土』B

 最初の出だしだけ引用してみる。文庫本では縦読みの6行、ネットでは横読みの3行である。
 「烈しい西風が目に見えぬ大きな塊をごうつと打ちつけては又ごうつと打うちつけて皆痩せこけた落葉木の林を一日苛め通した。木の枝は時々ひう/\と悲痛の響きを立てゝ泣いた。短かい冬の日はもう落かけて黄色な光を放射しつゝ目叩いた。さうして西風はどうかするとぱつたり止んで終つたかと思ふ程靜かになつた。泥を拗切つて投げたやうな雲が不規則に林の上に凝然とひつゝいて居ゐて空はまだ騷がしいことを示して居る。それで時々は思ひ出したやうに木の枝がざわ/″\と鳴なる。世間が俄に心ぼそくなつた。」
 名文とは思うのだが、読むのはつらい。これが文庫で350頁続くのだ。(2271)
posted by 矢島正見 at 11:40| 我流雑筆