2018年09月02日

『若山牧水』F

 牧水が旅に求めたものは水源だったと大岡は述べている。利根川の水源への旅、信濃川の水源への旅、等々、牧水は、海から河へ、河から川へ、川から湖・沼へと、里を抜け、山をかき分け、渓谷に分け入り、水源を目指したという。
 正岡子規は「坂の上の雲」を目指した。自己主張が強く、短歌文学に金字塔を打ちたてるという野心を抱き、頂上の雲を求めるという名声願望が見え隠れする。牧水にはそれが希薄である。牧水は頂上の雲ではなく、水源の水を求めたのである。(2263)
posted by 矢島正見 at 13:21| 我流雑筆