2018年08月30日

『若山牧水』E

 三好達治は牧水を評して「デカダンス」で「自然主義」と言ったという。〈自然のままのデカダンティスト〉〈デカダンスな自然主義文学者〉といったところだろうか。金にも身なりにも一向に無頓着な呑兵衛の歌人であった。
 文壇の主流派には決してならず、またなろうともせず、理屈で詩歌を語らず、一派を形成することなく、主流派(子規派)からは軽んじられつつも、大衆から愛された歌人であった。その点では、白秋も啄木もよく似ている。
 明治の革命の中で生まれた新文芸運動の文学者ではなく、大正デカダンスを先取りした文学者であった。(2262)
posted by 矢島正見 at 13:54| 我流雑筆