2018年08月10日

『若山牧水』A

 随所に引用されている牧水の短歌が活きている。今読んでみても、いい。
「宿に入り 酒を静かに 独り呑む 秋の夕べか 冬の夕べか」
「白玉の 歯にしみとほる 秋の夜の 酒はしづかに 飲むべかりける」
「十七と いふ女の 白き肌 酒を垂らして 戯れてみむ」
「なんとなく 飲みはじめたる 春の夜の 独り静かに 朝をむかへむ」
「かんがへて 飲みはじめたる 一合 二合の酒の 夏のゆふぐれ」
「とろとろと 琥珀の清水 津の国の 銘酒白鶴 瓶(へい)あふれ出づ」
「ただ二日 我慢してゐし この酒の このうまさはと 胸暗うなる」
「わが小枝子 思ひいづれば ふくみたる 酒のにほひの 寂しくあるかな」
「うら若き 越後生れの おいらんの 冷たき肌を 愛(め)ずる朝かな」
「病にて 酒禁じられし 酒恋ふる みつき経ちての 恋に溺れる」
「幾山河 越えさり行かば 寂しさの はてなむ国ぞ 今日も旅ゆく」
「白鳥は 哀しからずや 空の青 海のあをにも 染(し)まずただよふ」
「鎌倉の ほろびしあとの 無縁塚 琵琶の音にも 秋風ぞ吹く」
「山ねむる 山のふもとの 海ねむる かなしき春の 国を旅ゆく」
「かたはらの 秋ぐさの花 かたるらく ほろびしものは なつかしきかな」
「山ねむる 山のふもとの 里ねむる 里のとまやの 母と子ねむる」
「いざ行かむ 行きてまだ見ぬ 山を見む このさびしさを 君は耐ふるや」
(*ただし、偽物が6つある。当てた人は大したものである。)(2254)
posted by 矢島正見 at 14:34| 我流雑筆