2017年12月20日

『エドワード・バーナードの転落』

 『マッキントッシ』と同じ、太平洋ものである。舞台は当時のイギリス・アメリカ人が楽園と夢に描いたサモア諸島。
 バーナードは文明を捨て、金銭獲得・立身出世の欲望を捨て、婚約者を捨て、南海の楽園で、安らかに生きていくことを選ぶ。友人のベイトマン・ハンターは今まで通りの価値観の中で生き続ける。婚約者のイザベル・ロングスタッフは、まさに20世紀の白人女性像である。誠実で美しく気品があり才知にたけたエリート志向の女であり、野心に満ちた男が大好きの女である。
 『月と六ペンス』に類似したテーマとなっている。読みごたえはあるが、やはり最後の2頁ほどは書きすぎ。ここで一気に読者サービスの通俗性が出てしまっている。(2148)
posted by 矢島正見 at 23:23| 我流雑筆