2017年12月13日

『お菓子と麦酒』

 最近モームの作品を再度読みだした。これもモームの中編小説であり、モームの傑作のひとつである。よくできている。
 『月と六ペンス』にテーマがよく似ているし、ストーリー展開にも類似性がある。規則に縛られることから逃れて、脱落しつつも自由奔放に生きるという人間像であり、規律人間が物語の進行役となり、解放・脱落の過程を描くという展開だ。
 20世紀初期は、こうした人間像が好まれたのであろう。規律・管理・統制から自由・開放・堕落への時代変容過程である。文化人類学者のマーガレット・ミードがもてはやされたのもこの頃であり、時代の流れがよくわかる。
 20世紀の末頃からは、そうした変容の振り子が逆に動きだした。ダメ人間はただのダメ人間となった。逸脱者を許さない厳格な時代となった。(2146)
posted by 矢島正見 at 14:25| 我流雑筆