2015年09月06日

「『日本海軍の興亡』からの近代日本戦争史雑考」その28

 しかし、日露戦争の時のアメリカのような、どこの国が終戦の調停役となるのか。強硬派のいう「ソビエト」は、外交派では論外の国であり、強硬派ですら疑心暗鬼であった。
 満州を強引に建国させて属国化した日本に好意的な国などない。日独伊の三国同盟があるにもかかわらず、日本だけ終戦協定したい、なんて都合のよい終戦調停役を買って出る国があるわけない。しかも、調停をする国は連合軍にも顔が利くほどの政治力のある国でなくてはならない。第二次世界大戦でそんな国は一つとしてない。
 その日独伊の三国同盟は、ドイツ・イタリアがヨーロッパで勝利を収めるという大前提での協定であり、これほど不安定な協定はない。
 一か八かの戦争はもちろんのこと、終戦への確たるシナリオなき戦争はもっともしてはならない戦争である。一年ほど戦争して、有利な立場を維持し、終戦調停に持ち込むなどというシナリオ自体が非現実だったのである。
 にもかかわらず、こうした道を選ばせたのは、再度いうとおり、幕末・維新革命の勝利とその結果としての無反省、日清・日露戦争の勝利とその結果としての無反省のたどり着いた、〈戦争に勝った時の躁状態の傲慢な道〉だったのである。(1834)
posted by 矢島正見 at 13:07| 我流雑筆