2015年07月17日

「『日本海軍の興亡』からの近代日本戦争史雑考」そのQ

 日本海海戦の本当の立役者、つまりその場での戦術の立役者は東郷大将ではない、という。
 対馬海峡説を最後まで唱え続けた藤井較一氏が最大の功労者である。彼なくして日本海海戦はありえなかった。当時の日本国民は英雄として祭り上げる人物を間違えた。それ故に、その後の時代を間違えた。
 国民はいつの世でも複雑を嫌う。事実で頭を使わず、感情で心を使うのを大衆は歓迎する。それ故に、東郷平八郎のみ英雄にさせた。ひどいのは、無能であった乃木大将までも英雄に祭り上げたことだ。
 逆に、敗戦でも単純化が行なわれ、ある特定の人物を悪人に祭り上げた。戦時中だけに悪人がいたのではない。着々と戦争の準備を遂行していった大正時代の悪人には目もくれずに。
 こうした単純性正邪のお祭り観念こそが歴史の危険観念であることを国民は理解していない。
 何人と言えども、神格化・英雄視させてはいけない。これが教訓である。時代劇で、源義経や織田信長や大石内蔵助を神格化するのとわけが違う。(1802)
posted by 矢島正見 at 12:39| 我流雑筆