2015年03月21日

幕末は意外と近いのだ

 自分が生きていた過去は「つい最近のこと」と、人は現在継続の過去として認識する。ところが、自分がまだ生まれていなかった過去は「遠い昔のこと」と、人は現在とは切り離された過去として認識する。
 しかし、客観的に時代を見てみると、主観的認識とは異なる過去が浮かび上がる。
 アヘン戦争が終結したのは1842年。同年、幕府は異国船打払令を廃止して、薪水給与令を出している。この頃から既に幕末は始まっていた。明治維新は1868年なので、幕末は26年間の歳月がある。幕末は意外と長いのだ。ペリーが軍艦4隻で浦賀沖に来たのは1853年。ここから幕末の後半となる。つまり、動乱の時期となる。
 明治維新は1868年。日清戦争は1894年。26年間の歳月である。まったく時間の長さは同じだ。幕末は短くて、日清までは長いという認識は間違っているのである。
 日露戦争は1904年。日清戦争開始から日露戦争開始までは10年間、日清戦争終結からでは9年間である。日本がいかに戦争慣れしていたかが分かる。日清戦争の意外なほどの簡単な勝利が日露戦争を導いたと言ってよいであろう。
 満州事変勃発は1931年。日露戦争終結(1905年)から26年後のことである。
ということは、幕末から明治政府成立まで26年間、明治政府成立から日清戦争まで26年間、日露戦争から満州事変まで26年間と、まったく同じ時間で歴史は動いていたのである。日露戦争終結から満州事変勃発までの短さを考えると、日清戦争・日露戦争の延長として満州事変を捉えることができる。日清戦争・日露戦争から満州事変までは連続した過去なのである。
 満州事変から太平洋戦争を経て、終戦となるのは1945年。14年間である。そして現在(2015年)に至るまで70年という長い歳月を経ている。
 明治維新から満州事変まで63年間。これが富国強兵・軍国・帝国への道である。満州事変から太平洋戦争勃発までの10年間が軍国への道ではない。終戦から現在まで70年間。終戦から現在までのほうが長い。明治維新から太平洋戦争終結まで77年。あと7年で同じ時間となる。
 終戦から現在までが「最近の過去」であり「現在継続の過去」であり、明治維新から太平洋戦争終結までが「昔の過去」「現在とは切り離された過去」である。「過去の教訓」「過去の反省」と、機会あるごとに識者は口に出すが、それはすべて「最近の過去」であり、「昔の過去」まで遡って現在を反省する人は皆無である。
 ちなみに、バブル経済崩壊(1991年)から現在まで24年間。ほぼ、幕末から明治維新まで、明治維新から日清戦争まで、日露戦争から満州事変までと同期間である。あと2年間で脱却しなければ、それらよりも長い間日本経済は沈滞していたということになる。(1747)
posted by 矢島正見 at 12:32| 我流雑筆