2004年03月23日

告白(17)家F

 32歳で大学の専任講師となる。その数年後のこと、ボットン便所を直した。最新式のウォシュレットとなった。それまで、ながーい、ながーい、ボットン便所時代であった。
入ると便所の床がきしみ、今にも床ごと便壺の中に落ちていきそうな、そんな便所から、ようやく解放された。
今でも時々ボットン便所の夢を見る。トラウマになっているのである。思うに、誰だって、十やそこらのトラウマは持っているものである。精神科医の宣伝にマスコミは乗りすぎである。
posted by 矢島正見 at 00:00| 我流雑筆

告白(18)家G

 3年前に家を取り壊した。これにて、関東大震災直後に建てられた仮設住宅はなくなった。
継ぎ接ぎだらけの柱がトタン屋根を支えている家はなくなった。扉を閉めて、下の方はきちんと締まっているのに上は2pほど隙間がある、なんていう家はなくなった。
真冬の夜、家の中よりも外のほうが暖かい、なんていう家はなくなった。友達が外に出で、「なんだ、今日は意外に暖かいんだ」なんて、セリフを言う家はなくなった。
裏の竹藪の竹が床下から這い上がり、畳の隙間から這い上がり、家の中に竹がニョキニョキと生えている、なんていう家はなくなった。
夏は、ナメクジとヒルと一緒に風呂に入る、なんていう家はなくなった。手のひらくらいの大きさの、アシダカ蜘蛛の出る家はなくなった。
posted by 矢島正見 at 00:00| 我流雑筆